メディカルジャーニー学術コラム 第7回 がん個別化医療とリキッドバイオプシー

2022年11月10日

はじめに

 最近は、人生100年時代という言葉を耳にすることが、増えてきたのではないでしょうか。健康な状態を維持できることが望ましいですが、年齢を重ねるにつれて医療を提供される機会が増えていきます。本コラムのテーマの「がん」にかかる人は、日本国内において増え続けており、これは人口の高齢化とも関係しています1)。がんの罹患率は、年齢が上がるにつれて上昇し、生涯では、男性の方が女性より高くなっています。これは、喫煙や過度の飲酒など、がんのリスクを高める生活習慣が男性に多いことが主な原因と考えられています1)
 がんの発生要因は、生活習慣によるものと、そうでないものに分けられ、前者は生活習慣を改善することでリスクを抑制することができるとされています。しかし、がんにかかる原因は一つではなく、生活習慣や細菌・ウイルス感染、持って生まれた体質(遺伝素因)など様々な原因があります。日本人の死因の第1位は、1981年から「がん」となっており、死因の約3割はがんによるものです1)
 日本人の2人に1人は何らかのがんにかかるとの推計があり2)、がんは大多数の人にとって身近な病気であると考えられます。このコラムでは、昨今注目を浴びているがんの個別化医療(precision medicine)、特にリキッドバイオプシーについて、概要をご紹介します。

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